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「凶弾」が変えた米国

同盟国が怯える「バイデン後」

2024年8月号特別リポート

 米大統領選の投票が11月5日に迫る中、米外交に孤立主義の影が濃くなっている。共和党のドナルド・トランプ前大統領が4年ぶりに返り咲きを果たすという観測が強まっていることに加え、ジョー・バイデン大統領も健康不安により、外交舞台そのものから遠ざかっている。
民主党で新たな候補となるカマラ・ハリス副大統領は、共和党の孤立主義を攻撃しているものの、自身も民主党内の陣営固めに忙殺されている。米国の正副大統領ともおおむね、外交舞台から姿を消している。
米国のリーダーシップ不在で、西欧や中東の同盟諸国は、ウクライナ戦争と中東戦争の進行にほとんど手を出せない状態だ。しかもこの「米国不在」は、11月の選挙後も長期にわたり続く模様である。

すでに始まった「米外交不在」

米政治に「堰を切る」瞬間が訪れたのは、7月21日だ。バイデン氏が「私が大統領選から撤退し、残りの任期を大統領としての職務に専念することが、党と国にとって最善の利益と信じています」との書簡を発表した。
「バイデン不在」が続いていた世界の・・・