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習近平「独裁」に兆した陰り

三中総会で続発した「変事」

2024年8月号

 中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第3回全体会議(三中総会)は7月18日に閉幕した。採択した文書などは、党総書記兼国家主席である習近平氏の偉大さを強調する言葉が少なくなり、胡錦濤時代までの集団指導体制を連想させる表現が増えた。会議期間中には、国営新華社通信が配信した習氏礼賛の長文記事が突然、取り下げられた。「習氏の求心力が低下し始めたのでは」との囁きが中南海界隈から聞こえてくる。
 今回の会議で内外のメディアが最も注目したのは、失脚した前外相の秦剛氏、前国防相の李尚福氏ら高級幹部の人事だった。秦氏も李氏も習氏が省庁内の従来の序列を無視して大抜擢した幹部で「習氏の側近」と言われていた。
 会議閉幕後の18日夕方に発表されたコミュニケには、去年7月に外相を解任された秦剛氏について「中央委員会は秦剛同志の辞職申請を受け入れた」と一文が盛り込まれている。中央委員会からの追放が更迭ではなく、自ら辞任した形をとり、「同志」という呼称が引き続き使用されていることから、秦氏はこれから刑事責任を追及されないことが確定した。

新華社記事「取り下げ」の怪・・・