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政治

「岸田再選」消えない理由

自民党を覆う「衆院選恐怖症」

2024年7月号

 包囲された将軍が、故郷に伝わる歌を敵兵が口ずさむのを聞き、味方と思っていた人々まで敵側についたと知って絶望する「四面楚歌」の故事も、総理大臣・岸田文雄にとっては、敵陣に故郷の援軍が斬り込んだという都合の良い話になる。通常国会が閉幕し、九月に自由民主党総裁としての任期が満了する岸田の去就に焦点が移った今も、負けが込むほど岸田が立場を強め、党が弱くなる構図は根本的には変わっていない。
 およそ3年ぶりに開かれた6月19日の国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)で、野党の四番手として登壇した国民民主党代表・玉木雄一郎は「総理は今、四面楚歌ではないか」と切り出した。「公明党からもグズグズしていると言われ、自民党の中からも総理の責任を問う声が公然と出てきた。国民の信頼も地に落ちた」と口角泡を飛ばす玉木に、岸田は平然と「四面楚歌とは感じていない」と言い切った。
 前総理大臣の菅義偉が6月23日配信の文藝春秋電子版で、自民党の「非常に厳しい現状」は岸田が「責任を取っていなかった」ことにあると発言、「退陣要求」と受け止められるより二週間以上前のこと。自民党事務総長の元宿仁は岸田・・・

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