中国が狙う「黒海進出」
「西方拡大戦略」の新たな野望
2024年7月号
ヨーロッパとアジアの境界をなす巨大な黒海に、中国の習近平政権が本格的な進出を始めた。
20世紀から続くチェチェン紛争やロシアとジョージアとの戦争などで、中国企業はカフカス(コーカサス)地方への進出に慎重だったが、ユーラシア大陸の物流増加をにらんで、輸送ルート確立に本腰を入れ始めた。
ロシアが2022年にウクライナに侵攻したことで、黒海沿岸諸国への経済進出には大きな危険が伴っている。その一方で、武器や天然資源の輸出など新たな需要や商機も生まれている。黒海地域に進出する中国企業の周辺には、汚職疑惑がひんぱんに持ち上がっている。世界経済の新たなフロンティアの行方を追う。
ジョージアに接近する中国企業
今年五月末のことである。
政情不安の続くジョージアに、「明るいニュース」が飛び込んできた。中国交通建設(CCCC)と中国港湾工程(CHEC)が、黒海に面したアナクリアで、近代的な港湾施設を造るというプロジェクトに入札したのだ。入札したのは、中国企業グループだけで、即座に落札が決ま・・・
20世紀から続くチェチェン紛争やロシアとジョージアとの戦争などで、中国企業はカフカス(コーカサス)地方への進出に慎重だったが、ユーラシア大陸の物流増加をにらんで、輸送ルート確立に本腰を入れ始めた。
ロシアが2022年にウクライナに侵攻したことで、黒海沿岸諸国への経済進出には大きな危険が伴っている。その一方で、武器や天然資源の輸出など新たな需要や商機も生まれている。黒海地域に進出する中国企業の周辺には、汚職疑惑がひんぱんに持ち上がっている。世界経済の新たなフロンティアの行方を追う。
ジョージアに接近する中国企業
今年五月末のことである。
政情不安の続くジョージアに、「明るいニュース」が飛び込んできた。中国交通建設(CCCC)と中国港湾工程(CHEC)が、黒海に面したアナクリアで、近代的な港湾施設を造るというプロジェクトに入札したのだ。入札したのは、中国企業グループだけで、即座に落札が決ま・・・