三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

《日本のサンクチュアリ》埼玉「外国人街」

直視すべき日本の「将来像」

2024年7月号

 外国人労働者の技能実習制度に代わり、育成就労制度を新たに設けることを柱とした改正出入国管理法が国会で成立した。「発展途上国の人材育成を通じて、国際貢献をする」などという欺瞞の下、事実上、使い捨ての安い労働力とみなして30年も続けてきた「技能実習」制度は廃止される。労働力としての外国人材に真剣に向き合い、日本で長く働き続けられるような環境の整備を進めていくという意思を、ようやく明確に打ち出した。外国人労働者は2023年に200万人を突破した。少子高齢化で深刻な労働力不足に直面する日本において、外国人労働者の受け入れはもはや真正面から議論をする段階を迎えている。
 全国の自治体で最も外国人が多く暮らす埼玉県川口市はいま、移民受け入れの先進自治体として注目を集めている。総人口約60万6300人(24年1月現在)のうち、外国人は全体の7.1%(約4万3100人)。東京都心への交通の便がよく、外国人支援策が充実している上、住居費が安いことなどが背景にある。市内に暮らす外国人は10年間で約1.7倍に急増し、この流れはしばらく続く。現地を歩くと、人口減少に歯止めがかからず、国際化が加速す・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます