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社会・文化

米映画界と「CIA」の濃密な関係

秘密裡の宣伝工作と印象操作

2024年7月号

 イランで実際に起きたアメリカ大使館人質事件を描いてアカデミー賞を受賞した『アルゴ』や、国際テロ組織アルカイダの最高指導者だったウサマ・ビンラディンの暗殺事件を映像化して大きな話題になった『ゼロ・ダーク・サーティ』、米俳優トム・クルーズが主演で現在もシリーズが継続中の『ミッション:インポッシブル』シリーズ―。これらの映画には、ある共通点がある。
 アメリカのCIA(米中央情報局)が、映画の重要なテーマになっていることだ。だがそれだけではない。どの映画も対外諜報機関であるCIAが、その制作過程に深く関わっているのである。
 企業が、映画や連続ドラマなどのエンターテインメント作品をスポンサードして広告やPRに繋げていくのは珍しい話ではない。だが情報収集や工作活動で世界最強との呼び声が高いスパイ機関のCIAが、ハリウッドのエンターテインメント業界に深く浸透して工作活動を行い、自らのイメージを操作すべく暗躍している事実は、あまり知られていない。
 長年CIAで働いた元諜報員は、「米国の映画界にCIAが浸透しているという話は、都市伝説でも陰謀論でもなんでもない。何十・・・

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