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《世界のキーパーソン》

モハメド・ダガロ(準軍事組織RSF司令官)

2024年7月号

 スーダンと聞けば、多くの読者が「内戦」という言葉を連想するだろう。1950年代に「スーダン内戦」が起きて以後、この国のニュースが伝えられる時は、必ず内戦がらみだった。休戦交渉やその決裂、国際連合の仲介やその失敗など、目下のところ休戦に向けた様々な試みは成功していない。
 今年に入って、モハメド・ダガロ司令官率いる「迅速支援部隊(RSF)」が首都ハルツームに迫り、新たな中央政府を作る動きを見せた。6月末時点でハルツームに向けて進軍は続けているものの、形勢は不透明である。
 スーダンはエジプトと並ぶ悠久の歴史を誇る。地中海文明に組み込まれたエジプトに、内陸の鉱物資源や加工品を提供して栄えた。
 現在は、一部の遺跡以外に古代文明を味わう場所はない。数十年にわたる内戦と、「山賊」と称すべき武装勢力の横行で、すっかり国土が荒廃してしまった。
 今日その戦乱を争うのが、国軍司令官のアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン将軍と、準軍事組織RSFを率いるダガロ司令官(通称「ヘメティ」)である。
 ダガロ司令官は、現在でも生年月日不詳だ。1973~75年・・・

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