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政治

麻生太郎が心底恐れていること

《政界スキャン》

2024年7月号

 国会最終盤、3年ぶりに開かれた党首討論は異様な空気だった。岸田文雄首相が手刀を振りかざし時に語気を強めても、閣僚や与党幹部は表情も固く見つめるかうつむくばかり。ほとんど拍手もしない。最前列の河野太郎デジタル相はひざ掛けに包んだ足を投げ出しふて寝でもしているかのよう。野党側が「首相は四面楚歌だ」と喝破したままの光景である。
 目立ったのは、討論席の斜め後ろ三列目に陣取った麻生太郎自民党副総裁。野党が次々と衆院解散や総辞職を迫り、岸田氏が「結果を出すことに全力を挙げる」「やるべきことをやる」と退ける度に、ほぼ一人「それでいいんだ」と何度も大げさにうなずく。
 議場が呆れたのは、岸田氏の次の発言だ。「政治にはコストがかかる。お金のない若者でも政治を志せる現実的な方法が必要だ」。岸田氏の妥協による政治資金規正法改正案の修正が麻生氏は気に食わない。講演で公然と批判した。その屁理屈を、首相が国会で臆面もなく口まねしたのだ。
 討論前夜、岸田氏は麻生氏と2時間半会食した。強くクギを刺されたに違いない。従順さに拍子抜けするが、麻生氏はご満悦かと思いきや側近に漏らした。「・・・

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