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政治

岸田「中国外交」の支離滅裂

習近平「国賓来日」を巡る迷走

2024年7月号

 内政で窮地に陥ったとき、外交で目先を変えて局面打開を図るのは、歴代自民党政権の常套手段である。自民党派閥の裏金事件で低支持率にあえぐ岸田政権も、その路線を踏襲しようと試みているものの、やはり当の岸田文雄首相に「やりたいこと」がないのだろう。
 発する言葉に熱も魂もこもらず、バイデン米大統領の招待による国賓訪米や先進七カ国(G7)サミットをこなしたところで、政権浮揚の兆しは見えない。
 ロシアと北朝鮮が接近し、切り札である拉致問題解決に向けた訪朝の環境が整わない中、世論の関心を引き付けられるものがあるとすれば対中外交だが、これも岸田氏の基本姿勢が定まらず、混迷の度を増している。
 ソウルで開かれた日中韓首脳会談から2日後の5月29日朝、岸田氏は官邸で、中国共産党中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長と写真に収まった。劉氏の名前は日本人にはさほどなじみがないが、中連部は外国政党との交流窓口で部長は閣僚級。劉氏は王毅政治局員が兼ねている外相ポストを将来担うとの観測も出ている。昨年11月に公明党の山口那津男代表が訪中して与党交流再開の段取りを付けたのだが、見せ場に・・・

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