三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

米中が競う「無人兵器軍拡」

台湾有事に備える「機密の装備」

2024年7月号

 「火の海」は本来、中国や北朝鮮など民主主義と程遠い国がよく使うキーワード。それに負けない物騒な表現を使ったのは、日本の同盟国、米国の提督だった。米インド太平洋軍のパパロ司令官は六月、米紙ワシントン・ポストのインタビューで、「多数の機密の装備を用いて、台湾海峡を無人の地獄絵図にしたい」と言い放った。「機密の装備」とは、大量の無人機や無人水上艦などを指すとみられる。パパロ氏は「1カ月の間、(中国を)惨めな状態にして、我々があらゆる対応を行うための時間を稼ぐことができる」と言い切った。
 果たして、この発言はブラフか真実か。米軍の無人兵器開発に詳しい自衛隊の元幹部は「無人兵器を使い、絶対に中国軍に勝てるという自信の表れだろう」と語る。
 米国防総省のヒックス副長官は昨年8月末、1年半から2年以内に数千の無人機・自律型兵器を配備する計画「レプリケーター構想」を発表した。小型で安価、精密な兵器を大量に生産し、数で勝る中国軍を圧倒する構想だ。ヒックス副長官は当時、自身のXで、犬型ロボット兵や無人水上艇の写真も公開した。ヒックス氏は今年五月六日、レプリケーター構想の進捗状況につ・・・