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欧州「ポスト・ファシズム」の隆盛

変容する21世紀型「極右思想」

2024年7月号

 欧州大陸の政界に新たな妖怪が現れた。「ポスト・ファシズム」と総称される、極右勢力だ。
 20世紀のイタリアのファシスト独裁者、ベニト・ムッソリーニの「21世紀型後継」というわけだが、今回の標的は欧州に押し寄せる移民や非キリスト教徒だ。ポスト・ファシズムの担い手の多くは、自らを「西洋文明を守る運動」と標榜する。
 欧州連合(EU)が進めている「多文化・多様性」社会とは異なり、ポスト・ファシズムは、欧州古来の「キリスト教・西洋文化」を社会の軸にしている。反移民感情は西欧の若い層に広がっており、ポスト・ファシズムもじわじわと社会の主流に浸透を始めた。
「ファシズムの後継」と言えば、イタリアのジョルジャ・メローニ現首相が、その看板を背負っていた。彼女の政党「イタリアの同胞(FdI)」は、ネオファシストと呼ばれた右派団体「イタリア社会運動」(1946年結成)をルーツにしている。
 2022年9月の総選挙で「同胞」が躍進した時には、メローニ氏は、欧州のリベラル系メディアから、「現代版ファシスト」「彼女の根っこはムッソリーニだ」などと、かなり批判的に紹介され・・・