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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》「車検」の暗部

ユーザー搾取「5兆円市場」の悪辣

2024年6月号

 屋根や外壁が傷んでいるなどと言葉巧みにリフォームを持ちかけて手抜き工事をし、割高の工費を要求して暴利をむさぼる悪徳業者と大差がない。自動車ユーザーに不公正な頻度や中身を強いてきた車検制度に群がる、国土交通省を元締とする利権体系のことである。
 今年10月、車検の中身は大きく変わる。自動ブレーキなどを搭載した車種の増加に対応した新検査が始まるのだ。これに合わせ、車検時に要る印紙代が値上げされるなど、ユーザーの負担は増す。ほとんどのユーザーは車検がクルマ社会の安全を保っていると刷り込まれている。そのため、ビッグモーター傘下の整備工場やトヨタ系のディーラーで不正が相次ぎ、車検への信頼が揺らいでも、新たな検査の導入で負担増になることへの不満の声が広がらない。
 車検市場周辺には国交省の天下り団体がいくつもあり、ディーラーをはじめ自動車整備業界やメーカーも恩恵にあずかる構図がある。関連産業を含めた市場規模は年間6兆円に迫っていながら、ユーザーには全容が見えにくい。自動車の安全のための巨大市場ならまだしも、「車検不正は細かいものを含めると、多くの整備工場で行われている」(モー・・・