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社会・文化

強毒「鳥インフル」迫りくる脅威

「ヒト・ヒト感染」ウイルス変異の凶兆

2024年6月号

 H5N1型鳥インフルエンザが米国の牧場、牛たちの間で流行している。
 その牛から感染した酪農労働者から、ヒトへの感染が起こる突然変異のウイルスの一つが確認された。このような変異が蓄積すれば、コロナ同様の感染爆発が人間社会で起きてもおかしくない。世界各地では、様々な哺乳類への感染が次々と確認されている。牛と同じことが起こりうるのだ。H5N1型は強毒性で致死率は高い。対策をしないと、手のつけられないパンデミックとなる可能性があるが、日本は無防備だ。
 米国での牛での流行は5月14日現在、テキサス州、ニューメキシコ州など10州から40以上の集団感染が報告されている。これは氷山の一角と見られている。問題は分泌物を介して、ウイルスを周囲に撒き散らすことだ。乳汁中に分泌するため、搾乳機器を介して牛の集団内で感染が拡大しやすい。
 米食品医薬品局(FDA)によれば、米国内で販売されている牛乳の約20%でウイルスの断片が確認されたという。鳥インフルは低温殺菌で不活化されるため、市販の牛乳を飲んで感染することはないが、米国の牛の間でいかに鳥インフルが蔓延しているかがよく分・・・

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