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WORLD

戦争に飢えた米国

流血が潤す最凶の「軍事経済」

2024年6月号特別リポート

 ロシアによるウクライナ侵攻や中東ガザを巡る戦争など、世界各地で軍事紛争や緊張が増えている。
 その中で一貫して活況を呈しているのが、米国の軍事産業だ。米国製の「パトリオット」を筆頭に、ロシアの武器を封じるミサイル防衛システムや、米国産の偵察機、監視機器がどっと国際市場にあふれているからだ。膨れ上がる戦争費用をまかなうのは、米国主導で決める「国際支援」という仕組みである。米国の軍事産業は、全米各州に散らばっており、それぞれの州経済は軍需に沸いている。
 戦争でもうけ、経済と社会を潤し、海外に支援をする。米国の軍事支援には通常、日本や欧州連合(EU)も付き合わされ、巨額負担をする。こうして膨らんだ軍事費でまた戦争が起きる。米国はこの「戦争サイクル」により、中国とロシアにじわじわと差をつけている。

「雇用が増える」歓喜の田舎町

 現在の米国経済を象徴する南部の町がある。内陸部アーカンソー州のカムデンだ。人口一万人ほど。米南部でよく見られる、ふだんは眠ったように静かな町である。
 この・・・