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政治

政治資金「法改正」という茶番劇

結局なにも変わらない

2024年6月号

 通常国会後半戦の最大の焦点である自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案が5月22日、衆院政治改革特別委員会で審議入りした。事件の反省を踏まえ、今後の「政治とカネ」の在り方を検討する舞台のはずだが、法案の成否が今後の政局にも直結するため、与野党の思惑が交錯し、水面下では政治資金の透明化からかけ離れた醜い駆け引きが繰り広げられている。
 秋の自民党総裁選での再選を見据え、衆院解散も模索する岸田文雄首相。そのためには規正法改正案成立は避けては通れない道だが、誤算から始まった。「あんまり公明党に降りない方がいい」。5月6日、フランス、ブラジル、パラグアイの三カ国歴訪を終え帰国した岸田は、真っ先に電話を掛けた自民党の麻生太郎副総裁からこう釘を刺された。
 公明党は政治資金パーティー券の購入者の公開基準額を「20万円超」から「5万円超」に引き下げ、使途報告が義務付けられていない政策活動費を明細書で使途公開することを求めていた。自民党内には「5万円超」とした場合、名前の公表を嫌う企業や団体からの資金提供が先細るとの危機感が根強い。年間十数億円にも上る政策活動費は議員間・・・

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