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政治

森喜朗はなぜ岸田を売ったのか

《政界スキャン》

2024年6月号

 「文藝春秋」6月号の森喜朗元首相インタビューはタイトルを間違えている。「『裏金問題』真相を語る240分」とあるが、正確には「裏金の張本人が責任逃れ4時間言いたい放題」とするべきだった。森氏に真相を語る気はさらさらない。登場した意図は、手前勝手な自己正当化を盛大に申し立てて、自分への矛先を鈍らせることにあるのは明らかだ。
 先手必勝とばかりに都合のいい言い分だけ一方的に並べ立て、他はこれを読んだ上で聞きに来いというやり口は、『安倍晋三回顧録』を真似たに違いない。文春ともあろうものが、お先棒を担がされるとは。突っ込みどころ満載なのに、突っこみも足りない。
 森氏は政治資金パーティーによる裏金作りは、「安竹宮」(安倍晋太郎、竹下登、宮澤喜一各氏)時代に始まり、個々の議員や秘書たちの「意図的でない悪習が常習となり、言い伝えのように伝わっていったと思う」と語る。過去と不特定多数の個人に紛らわせた上で、自分もノルマ以上に売って還流を受けていたと開き直る。
 動機は「派閥への貢献度を示し、派閥での存在感を保つ」ため。何のことはない、やはり派閥としてのシステムだった。な・・・

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