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連載

金融の世紀

第18回【紛糾するIMF出資割当額】
作家 黒木 亮 

2024年6月号

米国財務省が作成したIMFに対する各国の出資割当額の原案と計算式がブレトンウッズ会議で発表されると、参加各国の間に嵐のような憤慨と混乱が湧き起った。
 ソ連は8億ドルではなく、英国に近い12億ドルを要求し、フランスは中国より少ないことに激怒し、メキシコは銀の生産量を計算式に入れることを要求し、中国とインドは人口をもっと重視すべきだと主張した。オーストラリアや南アフリカも大きな割当額を希望した。一方、米国は、IMFにおける支配権確立の観点から、自国の影響力を及ぼしやすい中南米諸国の比率を高めようと画策した。
 最も強硬だったのが、英語を解する代表団員がごく少数で、下手な通訳を介して議論に参加していたソ連だった。彼らは、何が議論されているのか理解するのが精いっぱいだったが、自分たちの要求が通らなければ「モスクワの了承が得られない」の一点張りだった。
 割当額に関する議論があまりにも紛糾したため、この問題に関する臨時委員会が設置され、1週間にわたって侃々諤々の議論や駆け引きが繰り広げられた末、出資金の総額は88億ドルで、割当額は次の通りとなった。
 米・・・