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極右勢力「欧州支配」の現実味

権力奪取への「深慮遠謀」

2024年6月号

  大勢の移民・難民が流入するヨーロッパで移民排斥を訴える極右政党の躍進が続く。そのやり方は巧妙かつ大胆になってきた。
 フランスの極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン氏といえばヨーロッパを代表する極右政治家である。このままヨーロッパ中の極右勢力を糾合し、勢力を拡大するのかと思いきや、少し変わった行動に出た。
「もう協力なんかしない。これでおしまいということだ」。フランスのメディアで絶縁状をたたきつけたのは隣国ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」。2013年に創設され、新興勢力ながらドイツ政治を席巻する勢いの政治団体である。
 欧州連合(EU)に加盟する27カ国では6月上旬に欧州議会選挙が行われる。ヨーロッパ中のほぼすべての政党が参加する、この欧州議会選挙では極右勢力の躍進が確実視される。自らの力を誇示したいなら、各国の極右政党をルペン氏主導でとりまとめるのが王道だが、大きな勢力を持つドイツ極右を排除してしまった。さらに細かく説明すれば、欧州議会にある極右の会派「アイデンティティーと民主主義(IDグループ)」からドイツ極右・・・