野々市市といっても場所や風景、名物などを想起できる人はほとんどいないだろう。石川県中部に位置する人口５万人ほどの小規模な自治体。この街にキャンパスを持つ私立の金沢工業大学（金工大）が大学業界に衝撃を与えている。来年4月に3学部を一挙に新設（再編含む）するからだ。新学部の延べ定員数は540人。少子化が加速する中、地方私大の大胆すぎる挑戦は功を奏するのか、暴挙に終わるのか。
「千葉県にあっても東京ディズニーランドと呼ぶのと同じでしょ」
　金沢市民は金工大について皮肉まじりにこう表現する。金沢市に隣接していると言っても所詮は野々市市の扇が丘にメインキャンパスを置く大学がブランド力を高めたいために「金沢」を名乗ることにいささかの不満があるらしい。
　金工大そのものの評価は「中堅未満、Ｆラン以上」というもので北陸3県では一致している。国立の金沢大学の滑り止めには物足らないが、京都、大阪の中堅私大にもすべて不合格だった地元受験生には命綱といった位置づけだ。ただ、最近では人手不足ということもあってか、地元以外の大手企業への就職も増え、評価は地道に高まってきている。{b・・・