米国人の肥満が深刻な健康危機をもたらしている。「成人の7割が体重過多または肥満」という推計があり、近年では平均寿命が連続して短くなるという事態を招いている。米国における新型コロナウイルス感染が、他の先進国より深刻だったのも「肥満が原因」とする研究がある。

4割以上が「肥満」に分類

　ウゴービ、オゼンピック、チルゼパチド（ゼップバウンド）―。日本の読者にはほとんど無縁の薬品群について、米国民の大半が知っている。いずれも肥満対策のための薬で、米国で大人気なのだ。
　ウゴービを作っているデンマークの製薬大手「ノボノルディスク」社の株価は近年急騰を続けた。昨年は同社の時価総額がデンマークのＧＤＰ（国内総生産）を上回るという珍記録を作った。
「痩せ薬」がこれほど求められるのも、米国人の肥満が一段と悪化しているからだ。それを如実に示すのは、肥満度を測る体格指数（ＢＭＩ）の統計である。
　ＢＭＩとは、体重（キログラム表示）を身長（メートル表示）の2乗で割ったもの。これが25以上にな・・・