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経済

トヨタ独り占めの「利益5兆円」

果てなき「下請け搾取」の強欲

2024年6月号

「日本企業として過去最高の利益を出した企業のトップの表情には見えなかった」
 5月8日に行われたトヨタ自動車の決算発表会見での佐藤恒治社長の様子について、出席した自動車業界紙の記者はこう語る。間近で見た佐藤氏はやつれ、心労が隠し切れなかったという。
 トヨタは、5兆3500億円(今年3月期)の営業利益を叩き出した。経営者の通信簿ともいうべき決算で好成績を記録しながら、佐藤社長の顔色が優れないのは、喜べない事情があるからだ。冒頭の記者が続ける。
「トヨタの好調はお得意の下請いじめと、為替要因によるもの。同社はこうした理由を掘り下げられたくない」

サプライヤー叩きと為替差益

 最大の増益理由についてトヨタは資料で「営業面の努力」と表現した。これで利益が約2兆円増加したという。内訳をみると販売台数・構成差(モデルミックスの改善)などで約9800億円増加したのに加え、「その他の要因」で約9200億円も増益した。「その他」というぞんざいな分類の中には、海外市場を中心とした値上げ分が含まれて・・・