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経済

《地方金融の研究》豊橋商工信用組合

再び公的資金注入の「杜撰経営」

2024年6月号

「このままでは信用組合業界の『きらやか銀行』になるかも」。地域金融機関の関係者からはこんな呟きも漏れる。
 山形県を地盤とするきらやか銀が初めて国の公的資金注入を受けたのはリーマンショック後の2009年のことだった。世界的な金融危機を受けて業績が落ち込み資本基盤が劣化。財務の立て直しを支援するためなどとして200億円が注ぎ込まれた。
 以降、東日本大震災後となる12年に2度目の注入(100億円)、そして23年の180億円と3度もの注入を経た挙げ句、この春には今年9月に返済期限が来る最初の公的資金の償還が不可能となりそうな事態が表面化。首脳陣が総退陣を迫られる状況にまで追い込まれた。
 きらやか銀と仙台銀行との経営統合で発足したじもとホールディングス(HD)の6月下旬の定時株主総会で国保有優先株への配当見送りが決議されれば、じもとHDは実質、国の管理下に置かれる形となる。
 優先株が無配に陥った場合、その無配期間中は国に議決権が発生するとの条件が付けられているためで、議決権比率は約63%。完全に経営を支配できる3分の2に迫ろうかという水準だ。{br・・・