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経済

ENEOS「統治崩壊」が加速

再エネ子会社「転売」に潜む火種

2024年6月号

 「姑息のひと言に尽きる。初めから転売が目的だったのか。かつての日本石油の名が泣くよ」
 ENEOSホールディングス(エネオスHD)の総帥に、経営統合した東燃ゼネラル石油出身の宮田知秀が昇格して2カ月、これほど輿望に欠ける新社長も珍しい。いや、それどころか、宮田の人事と同時に進行していたあるディールが明らかになり、一部のエネルギー関係者の間には落胆と怨嗟が渦巻いている。
 ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、現ENEOSリニューアブル・エナジー)―。2021年10月、エネオスHDが大枚2000億円をはたき、米ゴールドマン・サックス(GS)傘下の再エネ新興企業の買収を発表したことはまだ記憶に新しい。それは鳴り物入りのM&Aだった。当時のJREの純利益はわずか6.8億円、純資産は400億円に満たず、エネルギー各社からは「高値掴み!」の失笑が漏れた。が、エネオスHD社長・大田勝幸(現会長)は「当社グループを抜本的に変革する重要な布石」と表明し、脱炭素の旗幟を鮮明にしたのである。
 その“重要な布石”が、なんと売り出されているのだ。・・・

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