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経済

原発の急所は 「サイバー防衛」

時代錯誤の無力な「テロ対策」

2024年6月号

 エネルギー基本計画の改定作業が始まった。2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロに向けて、脱炭素電源を増やすための戦略とそれを踏まえた40年度の電源構成が今後議論されることになる。原子力発電と再生可能エネルギーの活用が肝となるが、エネルギー基本計画の議論で抜け落ちてしまっているのは、これらの脱炭素電源がサイバーテロの脅威に結びつくという発想だ。
「まさかこんな形でサイバー攻撃を受ける可能性があるとは……」。ある報告を受けた国内電力会社の幹部は、こう頭を抱えたという。
 23年3月、米国や欧州の電力会社が、大規模なサイバー攻撃に晒されるという事案が発生した。狙われたのは、電力会社が利用する先物取引ソフトである。攻撃者はソフトの正規インストーラーを改竄。これがダウンロードされることで、内部に不正侵入するための入口「バックドア」が設置され、機密情報が筒抜けになる状態に陥った。
 こうしたサイバー攻撃は、サプライチェーンセキュリティ攻撃と呼ばれる。電力会社自身がどれだけ防御をしても、そこに外部のシステムが納入される過程で被害に遭う。この・・・