「南海トラフ地震」杜撰な備え
台湾に大きく劣る「防災体制」
2024年5月号
「彼我の対策の差が如実に出た」
関東の大学で地震や防災について研究する教授はこう語った。4月3日に台湾東部で発生した地震では、政府や自治体の素早い対応が賞賛された。単純比較はできないが、1月に能登地方で起きた地震での政府や石川県の対応の課題を否が応でも突きつけられた。
4月17日には、南海トラフ地震の想定震源域内である愛媛県南部と高知県西部で震度6弱の揺れが発生。ヒヤリとさせられたが、前出教授は「南海トラフへの準備も実際には脆弱」と指摘する。首都直下以上の被害が予想されている災害だが、「備えよう」と空念仏を唱えているだけで、実際の防災体制は穴だらけなのだ。
「臨時情報」という無駄
高知県で17日に起きた地震では、「実際に津波が来たときに逃げられる体制なのかと不安に思う住民が多かった」(県内で取材した社会部記者)。23時過ぎという時間帯に発生し、停電こそなかったものの、暗い中で付近の高台に避難するのを躊躇したケースもあったという。また、高齢者の避難や、自動車動線の課題が浮き・・・