三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

不正蔓延「トヨタ販売網」の悪行

章男強権で進む「モラル決壊」

2024年5月号

「主権を現場に取り戻した時、トヨタグループは未来から必要とされる集団になれる」
今年1月、全国トヨタ販売店代表者会議の席上、豊田章男会長はこう語った。この直前にダイハツ工業での大規模な認証不正問題が発覚しており、豊田氏は「主権を現場に」と繰り返した。しかしあるトヨタ系ディーラー関係者はこう語る。
「販売の現場には主権を戻してくれないのか。年々、締め付けが厳しくなる一方だ」
トヨタ自動車が生産現場改革に取り組んでいることは周知の通り。その成否はいまだ見えないが、一方でトヨタ系販売店からも悲鳴が聞こえる。生産現場と同様、不正が横行し、自浄作用は働かない。にもかかわらず、トヨタは主権を戻すどころか支配を強化する一方で、ディーラー側の不満はもはや噴火寸前だ。
4月5日、札幌トヨタが法人向けのリース車両のメンテナンス費用を過大請求していたことを公表した。10年以上にわたって、実際には行っていない作業の工賃や、架空の部品交換の料金を請求していたという。個々の金額は小さく、約1,200件で2,000万円が上乗せされていた。問題は、不正が常態化していたことだ。ビ・・・