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連載

新大学評判記 第53話

近畿大学 世耕家「金儲け主義」が開花

2024年5月号

 近畿大学(近大)がいま、揺れている。理事長は参院議員の世耕弘成氏。安倍派の裏金問題で自民党離党を余儀なくされた世耕氏に、職員有志がネット上で理事長の辞任を求める署名を始めた。大学経営者として不適切という訳だ。署名は4月7日に4万筆を突破した。だが近大関係者は「やらせておけばいい」と冷静だ。経営基盤が盤石だからだ。その背後には、教育や研究より金儲け重視の大学運営が浮かぶ。「関西の商売人大学」とでも言うべき近大の姿である。
 15学部を擁する総合大学である近大は1925年に日本大学が設立した専門学校に始まる。その後、日大から独立し、大阪専門学校と改称する。43年に学内紛争が起こるが、これを治めたのが日大理事を務めていた、弘成氏の祖父・世耕弘一氏だ。49年、大阪専門学校と大阪理工科大学が合併し、近大が発足した際、初代総長に就任する。これ以降、のべ6人の理事長のうち、5人が世耕一族だ。

イメージ戦略が奏功

 2022年度の事業活動収入は、1522億円で111億円の黒字だ。運用資産は1671億円で、実質的に・・・

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