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政治

それでも「岸田降ろし」がない理由

政界「総弛緩」はまだ続く

2024年4月号

 定石に無頓着で、奇手も数手先まで考えない総理大臣・岸田文雄の流儀は、何度も手詰まりかと思わせながら在任記録では田中角栄を超える結果を出した。「強運」は、国より組織、組織より個人を優先する風潮に侵食され、人材枯渇の永田町の惨状がもたらしたものだ。四月の三つの衆議院補欠選挙で自由民主党が全敗でも、「岸田降ろし」は起きないとの展望は現実味を帯び始めている。

「茂木封じ込め」は入念

 二〇二四年度政府予算案が衆議院で可決され、参議院での審議が滞っても二三年度中の自然成立が確実になった三月二日の土曜日、岸田が自民党幹事長・茂木敏充に抱く不信と不満は最高潮に達していた。茂木が予算案の採決を三月四日の月曜日とする野党案を呑もうとする場面があったからだ。
 立憲民主党など野党は、自民党の裏金問題の影響で予算審議が不十分だと訴え、会期末でもないのに土曜日まで使って自然成立の確保にこだわる与党の姿勢を批判、「能登半島地震の対応に必要な予算は遅らせない。衆議院通過が月曜以降でも年度内成立は可能だ」とも説いた。
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