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中国「南極・北極進出」の強欲

危惧される環境破壊と軍事衝突

2024年4月号

 中国が南極と北極の両極地への進出を急いでいる。南極では計五カ所ある自国の「観測基地」を足場に、経済利権の確立を探っている。北極では、八カ国で構成される「北極評議会」への割り込みを図る。両極地は、「地球の最後のフロンティア」と呼ばれながら、実質的な開発がほとんど進んでいないだけに、中国の進出強化には警戒の声が強まっている。

観測拠点は軍の「目と耳」

 今年二月、中国が五カ所目の南極観測拠点、秦嶺基地の「運用開始」を宣言した。基地名は中国中部を貫く秦嶺山脈が由来。観測拠点数としては、日本の四カ所(昭和、みずほ、あすか、ドームふじ各基地)を追い抜いた。
 観測歴史の長い日本は、第六十五次の南極観測隊が活動中だ。活動年数でこそ、中国(第四十次隊が活動中)を引き離しているものの、基地数で凌駕された。秦嶺基地は、南十字星型の壮大な造りで、建物の大きさ(五千二百四十四平方メートル)でも、設備の充実度でも南極大陸随一と見られる。
 米ペンタゴン(国防総省)担当の米紙記者は、「米軍は、『中国の五基地はそも・・・