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経済

海運「再混乱」は長く深刻に

スエズとパナマ「複合危機」の行方

2024年4月号

 世界の海上物流にコロナ感染期を上回る危機が迫っている。イエメンの武装組織フーシ派による紅海周辺での民間船舶への攻撃でアジアと欧州を結ぶスエズ運河-紅海の最短航路が麻痺する一方、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河も水不足で通航量規制が長期化しているからだ。今や世界貿易を支えるのはアフリカ南端の喜望峰回りの遠距離迂回ルート。「船舶やコンテナの不足による影響は五月以降、深刻化する」と専門家はみる。フーシ派の攻撃に終息の気配はなく、むしろ反米、反主要国の有効な手段としてホルムズ、マラッカなど世界の海上交通の隘路でのテロ発生に広がりかねない。
「今、米欧で紅海ルート麻痺の影響が目立たないのは在庫が積み上がっているためだ」
 日本の自動車部品メーカーの幹部はこう指摘する。2020年から22年末にかけ、世界を覆ったコロナ感染によって米欧、中国の主要港の荷役作業が停滞し、世界のサプライチェーンは大混乱に陥った。グローバル企業の多くは供給安定のため原料、部品、完成品の在庫を積み上げる習性がつき、昨年秋段階でも自動車、電機・電子、機械、化学など主要産業では在庫水準が高く、「一時的な物流混・・・