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経済

《企業研究》日本製鉄

米社買収提案で堕ちる地獄

2024年4月号

 果たして無事に「上がり」(買収完了)にまで辿り着けるのか。
 日本製鉄にとっての最初のハードルはひとまず4月12日にやって来る。同社による買収提案の受け入れを求める米国鉄鋼大手、USスチールの株主総会だ。ここで否決されれば次のステップに進めないどころか「振り出し」に戻る。そのまま破談となってゲームオーバーを迎えるか、買収条件の変更など提案の仕切り直しをするしかない。
 もっともデビッド・ブリットCEO(最高経営責任者)をはじめUSスチールの経営陣は現買収提案に賛同する意向を示しており、ほとんどの大株主も現提案を支持していると言われている。日鉄の提案が可決されるのは「ほぼ確実」(事情通)とみられており、してみると総会は「関門」というよりは一種の通過儀礼のような形であっさりと幕を閉じるのかもしれない。
 何しろ日鉄はUSスチール株に一株当たり55ドルの現金対価を払う。決して「破格」値ではない。ただ昨年12月に日鉄による買収計画が発表された直前のUSスチール株の終値は39ドル。これに約41%のプレミアムを乗せた金額だ。
 しかもキャッシュでの資金決済・・・