十一月の大統領選で再選を目指すジョー・バイデン米大統領が、民主党内の分裂と白けムードに苦闘している。重要な支持基盤である黒人層から、「我々のために何をしてくれたのか」という不満が湧き起こっているばかりか、女性票やヒスパニック票の反応も鈍い。
　民主党の勝利のパターンは、白人男性票に頼る共和党候補に、黒人、ヒスパニック、女性票などあらゆる「少数派」を束ねて、凌駕するというもの。
　二〇二〇年の前回選挙で、共和党のドナルド・トランプ大統領（当時）を破ったのも、少数派連合がフル回転したおかげだ。それが今ではすっかり空中分解の模様である。ホワイトハウスは焦りの色を強めている。
　三月半ばのことだ。
　中西部ミシガン州各地に散らばる民主党事務所は、抗議の電話やＳＮＳの大波に襲われた。バイデン大統領が三月十四日に同州を遊説した際、アラブ系の代表たちと会う機会を設けなかったためだ。
「イスラエルのガザ侵攻に関して、我々から抗議を受けるような映像を嫌がったのだ。我々の前に姿も見せないバイデンには、今回は絶対投票しない」と、同州デトロイト市のアラブ系活・・・