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社会・文化

「大使OB」が破壊する大学教育

天下り教授「急増」で若手学者の絶望

2024年4月号

「現代の王侯貴族」といわれる特命全権大使が退任後、大学教授に転職するケースが目立つ。昨年退官した垂秀夫前駐中国大使は立命館大学招聘教授に、上月豊久前駐ロシア大使は東海大学特任教授に、岡村善文前経済協力開発機構(OECD)大使は立命館アジア太平洋大学副学長兼教授に転出した。
 3人とも修士号を持っていないが、グローバル化教育を装う大学は外交の最前線で活動した大使を教員に招く傾向がある。文部科学省が新たに、専門分野を持つ教員が複数大学・学部を掛け持ちできる基幹教員制度を導入したことも、大使の受け入れ増につながりそうだ。修士、博士課程と苦労を重ねたオーバードクターにとって、大学教員の道はさらに狭き門となる。
 垂氏は退任後、メディアに積極的に登場している。回顧録の短期集中連載を載せた月刊『文藝春秋』(2024年2月号)は、「中国が最も恐れる男」「中国の表と裏を知り尽くした異能の外交官」と持ち上げた。垂氏はこの中で、「第二の人生の夢として写真家を目指しています」と述べながら、裏ではちゃっかり立命館と慶應義塾大学客員教授のポストを確保していた。
 回顧録では、201・・・

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