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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》東京電力「柏崎刈羽原発」

再稼働するのか

2024年3月号

 新潟県が原発問題で揺れている。同県に立地している東京電力柏崎刈羽原子力発電所。国の運転禁止命令が解除された今、この世界最大の原発の再稼働を阻む要素はなくなった。原発に賛否があるのは当然だが、〝賛〟の勢力も一枚岩でなく、足並みはそろっていない。関係者の思惑が交錯する様は、さながら原発狂騒曲である。
「柏崎原発再稼働には経済産業省が最も前のめり」と語るのは電力業界関係者だ。同関係者は「経産省はこの春にエネルギー基本計画改定作業を始める。2035年の電源構成目標をつくることになるが、〝B〟がまったく動く見通しがない中での議論は避けたいと考えている」と解説する。
 BとはBWRを指す。沸騰水型軽水炉の略称であり、柏崎原発がこれに該当する。福島原発事故後、全国で原発が再稼働したが、動いたのはいずれも柏崎原発とは炉型が異なるPWRであった。PWRは加圧水型軽水炉の略称で、原子炉の水と異なる水で蒸気を発生させる構造上、BWRよりも安全性が高いとされる。経産省内にはかねて「Bが動いてこそ、福島事故の教訓を生かしたと言える。Bなき状況は原子力の正常化とはほど遠い」との声が強かった。・・・