JAZZ「アケタの店」の半世紀
世にも稀なる「極小音楽空間」
2024年3月号
マイクを通さない管楽器の力強く、美しい音色。やはりナマで鳴りわたるドラムの限りなくニュアンスに富んだ響き。耳をすませば、奏者の息吹や唸り声まで聴き取れる。バラードでは、きぬずれの音まで感じられそうだ。それぞれの演奏家からさまざまなトーンが発せられて、混じりあい、うねり、ひとつのサウンドへと昇華していく―。
最寄り駅は、東京都杉並区・西荻窪。北口を出た辺りにはずいぶん洒落たレストランも増えたが、数分歩けば、ほどよい静寂に包まれる。二つ目の角を右に曲がると、存在感たっぷりに迎えてくれる巨大な木の看板。いささか曲がりくねった地下階段を降りると、待ち受けているのは「ジャズ肉薄の地」にして“中央線ジャズ”の本丸、「アケタの店」だ。
中央線ジャズとは、1970年代より新宿をはじめとする中央線沿線の、スタイリッシュという言葉に背を向けるようなライヴ空間で繰り広げられてきた類のジャズ・フォーマットに対する、いわば「愛称」である。日本語で発想し、楽器を通じて日本語で歌い、スープの端麗な喉ごしよりも味噌汁の濃厚さを愛する者たちが紡ぐ熱血ジャズといえようか。・・・
最寄り駅は、東京都杉並区・西荻窪。北口を出た辺りにはずいぶん洒落たレストランも増えたが、数分歩けば、ほどよい静寂に包まれる。二つ目の角を右に曲がると、存在感たっぷりに迎えてくれる巨大な木の看板。いささか曲がりくねった地下階段を降りると、待ち受けているのは「ジャズ肉薄の地」にして“中央線ジャズ”の本丸、「アケタの店」だ。
中央線ジャズとは、1970年代より新宿をはじめとする中央線沿線の、スタイリッシュという言葉に背を向けるようなライヴ空間で繰り広げられてきた類のジャズ・フォーマットに対する、いわば「愛称」である。日本語で発想し、楽器を通じて日本語で歌い、スープの端麗な喉ごしよりも味噌汁の濃厚さを愛する者たちが紡ぐ熱血ジャズといえようか。・・・