「汚職まみれ」軍の粛正を担う

　中国人民解放軍が揺れている。東アジアの国際情勢ばかりが問題ではない。巨額の賄賂を受け取っていたとして、少将以上の軍幹部が次々と摘発されているのだ。中国軍は、組織内外の諸問題に対処できるのか。昨年末に起用された董国防相は、いきなり荒波でのかじ取りを迫られている。
　董は海軍軍人だ。１９６１年、山東省に生まれた。大連艦艇学院を卒業して、海軍勤務に入った。海軍司令部軍事訓練部部長や北海艦隊副参謀長などを経て、２０１２年に海軍少将。２１年に海軍司令員（司令官）に任命された。
　国防相に就任するや否や、東アジア海域の緊張に直面した。２月１４日、福建省アモイ沿岸に位置する金門島近くで、中国漁船が台湾側の取り締まり中に転覆し、二人が死亡する事件が起きたのだ。
　金門島は台湾が実効支配する。周辺海域には、中国船が許可なく進入するのを禁じる「禁止水域」や「制限水域」を設定し、中国側も暗黙のうちに了解していたとされる。中国側が今回どこまで何をやるつもりなのか。この種の危機では、台湾だけでな・・・