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連載

新大学評判記 第51話

千葉大学 学長選騒動が示す文科省の「支配地」

2024年3月号

 「千葉大学はブランディングに失敗した学校だ……」
 理学部の教授がこう自嘲気味に語る千葉大で、学長選を巡る騒動が持ち上がっている。
 1月25日、同大は次期学長として副学長の横手幸太郎氏が選ばれたと発表した。横手氏は、大学院医学研究院の内分泌代謝・血液・老年内科学教授であり、大学附属病院トップを務めている人物。
 しかし直後から選考過程の不透明さを指摘する声が学内で上がり、千葉日報など地元メディアなどが報道した。これを受け大学当局は、約1,400人が投票権を持つ「学内意向聴取(学内投票)」の結果を公表。それによれば、人文科学研究院の山田賢教授が534票を獲得し、横手氏(446票)を上回っていた。
 この理不尽に人文系の教員が強く反発。人文科学研究院の教授会は、学長人事の決定権を持つ「学長選考・監察会議」に対して質問状を出した。同会議は7人の学外委員と7人の学内委員によって構成されている。学内委員のうち人文系教授は1人のみ。歴代の千葉大の学長15人全員が理系の教授(内、12人が医学部)ということもあり、事態は「理系vs・・・