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経済

トヨタの宿痾「不正」は治らず

章男「グループ支配」の逆効果

2024年3月号

 「舌の根も乾かないうちに、責任を放棄するのか」
 2月13日、トヨタ自動車とダイハツ工業が共同で実施した会見を目にして、参加した経済誌の記者はこう吐き捨てた。ダイハツの新体制を発表したその場に、トヨタの豊田章男会長の姿がなかったからだ。
 不正は底なしの様相を呈しており、ダイハツの出荷停止に続き、トヨタグループの「源流」とも言うべき豊田自動織機でも製造するディーゼルエンジンの認証不正が確認された。当該エンジンはトヨタ本体が製造・販売する車にも搭載されており、主要車種が出荷停止されるなど、これまで以上に深刻な事態に直面していることは周知の通り。その中で豊田会長が主導したと称する改革方針を発表したのだが、早くもグループ内では懸念の声が広がっている。
 トヨタは1月30日、グループ17社のトップを集めて豊田氏が主宰する会議を開催し、その後に記者会見を開いた。会場は、名古屋市西区にあるトヨタ産業技術記念館―。豊田佐吉が自動織機の開発や製造試験を行うために設けた工場の跡地に設立されたもので、グループ17社が共同で運営している。この場所で、「原点回帰」や「再出発」を・・・