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政治

ゴッドマザー死去「安倍政治」の終焉

《政界スキャン》

2024年3月号

 「政界のゴッドマザー」こと安倍洋子さんが95歳で亡くなった。安倍晋三元首相が暗殺され、山口県の安倍事務所が閉じられ、安倍派(清和会)も解散されて、政界随一の権勢を振るった家名が跡形もなく消えるのを見届けたかのような大往生である。
 映画「ゴッドファーザー」も、シリーズ三作を通じてアル・パチーノが演じた最後のドン、マイケル・コルレオーネは、父亡き後、妻は去り、愛娘を殺され、孤独のうちに死んでいった。栄枯盛衰を一身に体現した境涯の重なり方が妙に因縁めいている。
 家内の「総理の娘にして母」といった存在にとどまらず、「ゴッドマザー」と呼ばれたのには理由がある。父親の岸信介元首相は岸派も自ら解散し、家名を残す欲はなかった。夫の安倍晋太郎元外相も家名を云々する前に、自分が志半ばで病に倒れた。岸・安倍の家名を周到に図って隆盛させた希代の「政治プロデューサー」こそ、洋子さんに他ならない。
 晋太郎氏が死んで晋三氏が国政に名乗りを上げ、家族に議席がなかった「空白期」に、洋子さんは『わたしの安倍晋太郎 岸信介の娘として』(1992年)という語り下ろし本を出し、「政治の家系・・・