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ミャンマー「徴兵制」で沈む軍政

若者離反で一段と窮地に

2024年3月号

 兵力不足がますます深刻化するミャンマー国軍が突如、「徴兵制」の導入を発表し、国内は大混乱に陥っている。戦場へ送られる可能性のある若者たちは兵役を回避するため、隣国タイへの脱出を試み、最大都市ヤンゴンのタイ大使館前に夜を徹して並ぶ。「どうせ戦場へ行くなら、抵抗勢力側に加わった方がマシだ」と、民主派の武装組織「国民防衛隊(PDF)」への入隊希望も相次いでいる。
 ミャンマー国軍の最高指導機関である「国家行政評議会(SAC)」は2月10日、2010年11月に制定された「国民兵役法」を施行すると発表した。この法律は、民政移管を数カ月後に控えた当時のタンシュエ独裁政権により民主化後に兵士が足りなくなる事態に備えて制定された。しかしながら、10年以上にわたり施行されることはなかった。
 国軍の説明によれば、徴兵の対象は原則、18~35歳の男性と18~27歳の女性。一部、専門技能を持つ男性は45歳まで、女性は35歳までとなる。対象者は計1300万人に上る。国軍のゾーミントゥン報道官は軍のキャパシティの面から実際に訓練を実施できるのは「最大で対象の0.5%程度」と述べ、年間5万~・・・