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WORLD

カリブ海で疎まれる「英王室」

連邦王国「離脱予備軍」が続々

2024年3月号

 かつて世界を席巻した大英帝国を植民地として支え、独立した現在も英国王を元首に戴く「英連邦王国」(英国を含め15カ国)諸国で、立憲君主制を廃止する動きが目立っている。つらい隷属の歴史の象徴である英王室との結び付きを絶つことで過去を克服しようとする試みは、特に15カ国の半分以上が集まるカリブ海地域で顕著だ。いくつかの国では、数年以内に共和制移行を問う国民投票の実施が見込まれている。

チャールズは「部外者」

 カリブ海地域で現在、英連邦王国に連なる国は左図の8カ国。このうち六カ国が「英国王の庇護」を離れようとしているとみられる。
「多くのジャマイカ人はエリザベス女王に温かい愛情と(自身の)アイデンティティーを感じていた。ジャマイカが独立した時に、既に女王だったからだ。でも、チャールズ国王にはそれを感じられない。私たちにとっては部外者だ」。2023年5月に行われた英スカイニュースのインタビューで、ジャマイカのマラホー・フォート法律・憲法問題相はこう断言した上で、「時は満ちた。ジャマイカをジャマイカ人の手に・・・