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政治

「岸田主導」政局の始まり

目指すは七夕「ダブル選挙」

2024年2月号

 自民党の派閥パーティーを巡る裏金事件の東京地検特捜部による刑事処分を翌日に控えた1月18日、党内は「岸田ショック」に見舞われた。18日の午後7時22分、官邸三階エントランスで待ち構える記者団の前に防災服姿で現れた岸田文雄首相は「岸田派(宏池会)の解散についても検討しております。政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならない」とあっさり認めた。やり取りの際にはうっすらと笑顔すら見せた。
「自分は生まれた時から宏池会だ」と豪語し、裏金事件を受け昨年十二月に派閥会長は退いたものの、あくまでも一時的な離脱に過ぎないとの立場を崩さなかった「派閥人間」の岸田。宏池会は党内派閥の中でも最古の歴史を誇り、池田勇人以来、5人の首相を輩出してきた名門派閥だ。ましてや事件を踏まえ、1月10日に発足した「政治刷新本部」で党改革の議論をしているさなかの突然の表明に党内は驚きを隠せなかった。「党の救世主だ」「これで派閥解消が進む」と評価する声が上がる一方、「岸田派だけいい格好をしようとしている」「『安倍一強』ならぬ『岸田一狂』だ」と賛否両論が渦巻いた。
 この発言・・・