テイレシアスの食卓 vol.11
三ツ星のキャベツ料理
河井 健司
2024年2月号
フランスのグランメゾンと呼ばれる高級レストランの世界は華々しい。料理に最高品質の食材を惜しみなく使い、そこでしか味わえない名物料理の数々を用意する。もちろんワインリストには銘醸酒がずらりと並ぶ。客はそれぞれ洒落た衣装に身を包み、案内された席に着いて目配せすればホールスタッフが卓前に来てくれる。グランメゾンにおいて客席とは舞台、もちろん主人公はお客様方々だ。そして、その中にはスノビズムとは無縁の、知性と知識に富み、確固たる自己判断基準を持つ客も少なくない。したがって接客の責任者である支配人や、店の顔たるマダムにとって知識と教養は必須である。
その一方、厨房スタッフは額に汗して働く職業ゆえか品位に欠けた料理人も少なからずいたが、自分とて同僚のことをとやかく言えた義理ではない。それでも幸いなことに底意地の悪い人間はおらず、みんな気のいい連中だった。個を大切にするフランス社会においてもチームで働く以上、利己主義は排除されるのだ。そんな職場環境で、フランス人の同僚がひとりの例外もなく知っている日本の地方都市名がふたつあった。
広島と長崎がそれである。学校でしっかり教わる・・・
その一方、厨房スタッフは額に汗して働く職業ゆえか品位に欠けた料理人も少なからずいたが、自分とて同僚のことをとやかく言えた義理ではない。それでも幸いなことに底意地の悪い人間はおらず、みんな気のいい連中だった。個を大切にするフランス社会においてもチームで働く以上、利己主義は排除されるのだ。そんな職場環境で、フランス人の同僚がひとりの例外もなく知っている日本の地方都市名がふたつあった。
広島と長崎がそれである。学校でしっかり教わる・・・