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WORLD

インド洋覇権で中国の猛威

増える「親中国」と変わる勢力図

2024年2月号

 中国が、インド洋に続々と戦艦を送り込んでいる。表向きは、「海洋調査船」をうたっているが、重武装した軍民両用船で、インド洋を航行する中国タンカーや商船の警護も可能だ。
 習近平総書記が東アジアと中東を結ぶ海上交通ルートで、支配的な立場を確立しようとしているのは明らかだ。今年の世界の海上交通は、紅海におけるフーシ派の攻撃で幕を開けたが、各地で「制海権」をめぐる動きが活発化している。インドは、自国近海に迫ってきた中国の動きに、特に神経をとがらせている。
 2024年の年明け早々、中国のインド洋への進出ぶりを示す、2つの事件が起こった。
 一つは、米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が米国時間の1月10日(アジアは1月10日夜から11日未明)、「中国はインド洋に多数の軍民両用船を送っている」という調査結果を公表したことだ。CSISの調査では、中国が「海洋調査船」として世界各地に送っている船団は64隻に達し、「その80%以上の船舶が、怪しい活動をしているか、中国政府の地政学的目標達成に向けた活動に関与している」と結論づけた。
 主体は、「・・・