エルサルバドル「独裁者」が大人気
超法規「治安改善」に貧者の喝采
2024年2月号
中米のエルサルバドルで「クールな独裁者」を自称する中道右派のナジブ・ブケレ大統領(42)が、憲法に挑戦する形で長期政権を築こうとしている。首都サンサルバドル市長を務めた同氏は2019年の大統領選に出馬。過去30年、左派「ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)」と中道右派「民族主義共和同盟(ARENA)」の二大政党が権力を独占してきたことを「彼らはいつもわれわれをだましてきた。彼らのイデオロギーは国民分断しかもたらさなかった」と責め、SNSを駆使して犯罪対策や最低賃金の向上、失業率改善などを訴えた。歯切れのいい言葉は腐敗と貧困、犯罪に倦んだ若者らの心を引きつけ、37歳で権力の座に。世界最悪と言われた治安の劇的改善を背景に、直近では支持率九割という高い国民的人気を保っている。民主主義的手続きや人権を軽視して人権団体などから批判を浴びているものの、唯我独尊を貫き、2月の大統領選で圧勝が確実視されている。
凶悪組織に荒療治
エルサルバドルは、九州の半分の国土に約650万人が暮らしている。1930年代に軍政・・・
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