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経済

《クローズ・アップ》喜㔟 陽一(JR東日本次期社長)

労組解体で出世した「安全の素人」

2024年2月号

「作業員の安全を守れない鉄道会社は、乗客の安全も守れない」
 JR東日本で1月23日に発生した新幹線での架線接触事故の直後、復旧作業にあたった現場作業員が感電するという「二次災害」が起きた。倒れた人の作業着から炎が上がるショッキングな映像を見たJR東関係者は冒頭のように批判した。全身火傷を負ったのは下請けの作業員だが、保線業務などの専門性が高い業者は、日常的にJR東と一体となって鉄道運行のための作業に従事している。この関係者は「安全運行のための作業環境が安全ではない」と呆れる。
 今回の事故が発生する約一週間前にJR東は、代表取締役副社長の喜㔟陽一が4月1日付で社長に就任する人事を発表した。民営化後の入社組として初めて社長に昇格する喜㔟は、人事や経営企画畑を歩んできた人物。東京大学法学部出身で、過去には部下に酒を強要したアルコール・ハラスメント疑惑が週刊誌で報じられたこともある。その後も酒をやめたという話はなく、最近でも酒が進むと、店に置いてあるピアノをおもむろに弾き始めるという。本人は高尚な趣味だと考えているようだが、酒に酔った上司のピアノを聞かされる部下の心中は・・・