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全欧安保協力機構を蝕むロシアスパイ

機密筒抜けの大失態

2024年1月号

 ロシアの米欧でのスパイ活動が、西側情報関係者の間で大きな懸念を集めている。中でも米欧や旧ソ連の国々など計五十七カ国が加盟する「全欧安保協力機構(OSCE)」はロシア人スパイの巣窟だ。ウラジーミル・プーチン大統領の命令の下、ロシアの外交官は、本人のみならず家族まで、秘密工作や情報収集に動員されている。
 西欧各国は、スパイ摘発を進めており、二〇二二年以降は年間数百人のペースでロシア人の「外交官」が赴任国から追放処分を受けている。ロシア政府も、報復として米欧の外交官追放を進めている。だが、こうした東西の厳しい外交戦も、OSCEの舞台では全く異なる展開を見せている。

最高機密会議に立ち会う女スパイ

 二三年十一月下旬のことだ。「OSCEに多数のロシア人スパイがいる」との情報が、欧州各国の首都を駆け巡った。
「ネタ元は明らかに米当局だ。『特ダネ』として報じたラジオ・フリー・ヨーロッパとラジオ・リバティーは、米政府が出資している。スパイ被疑者を特定し、背景取材までしていた」と、在ベルリンの西側外交・・・