日本の科学アラカルト 160
「次世代肥料」が秘める可能性 耕作不適地を農地に「激変」
2023年12月号
人口増加や気候変動、戦争などの要因が重なり、「食糧不足」の危機が迫っている。
二十世紀は人口が爆発的に増加した一方で、穀物の生産性も飛躍的に向上した。これは前世紀中盤以降に化学肥料と農薬が普及したことが原因だ。「肥料」「農薬」と聞くだけで眉をひそめる非科学的な人もいるが、人間社会の発展に多大な寄与をしてきた。
昨年のウクライナ戦争発生以降、世界的な物価高騰や原材料不足などにより、肥料の相場が高騰したことは記憶に新しい。肥料は「戦略物資」であり、経済安全保障とも直結するテーマである。そして従来の肥料にはない機能を持った、「次世代肥料」の開発に、世界中の研究者や企業が取り組んでおり、日本も例外ではない。
食糧不足を解決するためには、生産量を増やすしかないが、現状の技術で単位面積当たりの収量を劇的に増加させるのは不可能。選択肢として考えられるのは、作付面積を広げることだ。
地球上には利用されていない広大な土地がある。しかし、陸地のうち、約七割は耕作に適さない不良土壌と推計されている。そしてこの七割の耕作不適地のうち約半分、つまり地球上の土地の・・・
二十世紀は人口が爆発的に増加した一方で、穀物の生産性も飛躍的に向上した。これは前世紀中盤以降に化学肥料と農薬が普及したことが原因だ。「肥料」「農薬」と聞くだけで眉をひそめる非科学的な人もいるが、人間社会の発展に多大な寄与をしてきた。
昨年のウクライナ戦争発生以降、世界的な物価高騰や原材料不足などにより、肥料の相場が高騰したことは記憶に新しい。肥料は「戦略物資」であり、経済安全保障とも直結するテーマである。そして従来の肥料にはない機能を持った、「次世代肥料」の開発に、世界中の研究者や企業が取り組んでおり、日本も例外ではない。
食糧不足を解決するためには、生産量を増やすしかないが、現状の技術で単位面積当たりの収量を劇的に増加させるのは不可能。選択肢として考えられるのは、作付面積を広げることだ。
地球上には利用されていない広大な土地がある。しかし、陸地のうち、約七割は耕作に適さない不良土壌と推計されている。そしてこの七割の耕作不適地のうち約半分、つまり地球上の土地の・・・