トヨタ自動車の企業統治が、豊田章男会長の独裁により「プチ章男」を生むまでに歪んでいる。中でも、同社の執行役員で渉外広報担当の長田准氏の評判が悪い。章男氏の意向のみを汲み取り、オウンドメディアの「トヨタイムズ」や、日本自動車工業会で章男氏の横暴を助長する。一方で章男氏の意に沿わない意見に対しては恫喝で黙らせる。そのため「章男が生んだ『モンスター』」という悪評が噴出しているだけでなく、「本人も一線を越えたと自覚している」と憐れむ声さえ聞こえてくる。
　ここ数カ月、社内や周辺からは長田氏の狼藉を訴える声が絶えない。小誌九月号ではトヨタによるメディア支配の実態を報じた。当該号発行直後、担当記者が集まった栃木県のレース場で、長田氏は反省するどころか、「こんな情報を垂れこんだヤツは誰だ」と周囲に当たり散らしていたという。

「モーターショー」での献身

　長田氏とは何者なのか。当人の若い頃を知るトヨタＯＢは「もとは調子の良い兄ちゃんだった」と振り返る。一九九〇年に慶應義塾大学を卒業後に入社し、主に販売部門を歩んで・・・