岸田「バラマキ農政」の時代錯誤
血税濫費と農産物「高騰」を招来
2023年12月号
岸田文雄政権の農業政策が迷走している。発信下手で「一体何がしたいのかわからない」という点で、究極のバラマキ政策である所得税減税とそっくりだ。その裏側で、自民党の森山裕総務会長が牛耳る農林族議員が政策決定力を強め、農業協同組合(JA)と二人三脚で選挙目当てのバラマキ農政が進展している。最大の犠牲者は、理念のない事業に血税を浪費され、割高の農産物を買わされる消費者たちだ。
臨時国会の所信表明演説(十月二十三日)で、岸田首相は「持続的な食料の安定供給に向け、食料安全保障の強化、農業のスマート化・グリーン化の推進を図ります」と述べるにとどめた。「農政の憲法」とも呼ばれる食料・農業・農村基本法の改正を控え、強いメッセージを期待していたJA関係者は、あまりの短さに肩すかしを食らい、「農業軽視」と憤慨するほどだった。
しかし、この発言の最大のポイントは、短いことではなく、安倍晋三政権の構造改革政策の中核だった「農業の成長産業化」というキーワードが消滅したことだ。
「成長」から「安定供給」へ
二〇・・・
臨時国会の所信表明演説(十月二十三日)で、岸田首相は「持続的な食料の安定供給に向け、食料安全保障の強化、農業のスマート化・グリーン化の推進を図ります」と述べるにとどめた。「農政の憲法」とも呼ばれる食料・農業・農村基本法の改正を控え、強いメッセージを期待していたJA関係者は、あまりの短さに肩すかしを食らい、「農業軽視」と憤慨するほどだった。
しかし、この発言の最大のポイントは、短いことではなく、安倍晋三政権の構造改革政策の中核だった「農業の成長産業化」というキーワードが消滅したことだ。
「成長」から「安定供給」へ
二〇・・・